ゴルフ競技で新たに切り替わったワールドハンディキャップシステムとは

2022年4月7日より、公益財団法人日本ゴルフ協会のハンディキャップ取得サービス「J-sys」が、ワールドハンディキャップシステム(World Handicap System 以下、WHS)に対応した運用へと切り替わりました。
この記事では、ハンディキャップの運用切替に伴う変更点をわかりやすく解説し、当社における取り組みをご紹介いたします。
目次
そもそもワールドハンディキャップシステム(WHS)とは
ゴルフ競技のハンディキャップとは、実力の異なるゴルファーが同じ土俵で勝負できるように作られたものです。しかしながら、世界にはこれまで大きく分けて6つのハンディキャップ計算方法が存在していました。6つのハンディキャップはそれぞれの算出法が異なるため、スコアには大きな差が出ます。そのため、異なった算出法で取得したハンディキャップで競技を行うことに対して、不公平感や不満の声がありました。
そこで、世界共通のハンディキャップシステムとなるワールドハンディキャップシステム(WHS)が制定されました。WHS制定の目的は「世界に存在するハンディキャップシステムを統一し、単一のハンディキャップ規則をつくることにより、プレー方法やプレー場所に関わらず、技量の異なるゴルファーが公正且つ公平に競い合えるようにすること」とされおり、プレイヤーの不満払拭などにもつながるといえます。
ワールドハンディキャップシステム(WHS)は何がかわったのか
WHSのハンディキャップ算出方法の基本は従来と同じく、各プレイヤーが持つそれまでのスコアから算定された「ハンディキャップインデックス(ハンデの基準になる数字)」と「スロープレーティング」から算出されます。
では、一体どの部分が変わったのでしょうか。
①18ホールのスコアカード5枚から3枚へ
ハンディキャップインデックスを査定する最低枚数が少なくなりました。 従来は、ハンディキャップの基準となるインデックスを取得するためには18ホールをプレーしたスコアカードが5枚必要でしたが、WHSではスコアカードが3枚でインデックスが取得できます。 インデックス取得に必要なスコアカード枚数が減ったことにより、今までよりも手軽にハンディキャップインデックスを取得できるようになりました。
②スコアの結合が可能に
今までは18ホールのスコアのみがインデックスの対象となっていましたが、9ホールのスコアカード2枚をJ-sys登録時に統合することで、18ホールのスコアとして査定対象にすることが可能になりました。(ゴルフ場スコア登録代行サービスを利用しているプレイヤーは提出時にスコア結合の旨をゴルフ場へ伝える必要があります)
つまり、9ホールのスコアカードが6枚あれば計54ホール分(18ホール×3回)に相当するため、インデックスの取得が可能となります。ただし、9ホールのスコアカードは、結合して提出しない限りスコアの良し悪しに限らず、プレー日時の古いスコアから自動的に 破棄されてしまうため、注意が必要です。結合された9ホールx2枚の18ホールとしてのスコアカードであれば古いスコアから自動的に削除されることはありません。
③スコアカード20枚提出時のベストディファレンシャルが10枚から8枚へ
ベストディファレンシャル(良いスコアディファレンシャル)の枚数が少なくなったことで、自身のスコア平均値がより良い値で算出されるようになりました。
④ハンディキャップインデックスの上限は54.0へ
性別年齢問わず、より多くのプレイヤーがハンディキャップインデックスを使った競技に参加できるよう、変更になりました。
主に上記4点の変更があり、誰でも、気軽に、良いハンディキャップインデックスが出るような仕組みになったことが分かります。
プレイヤー・ゴルフ場がそれぞれ気を付けなければいけないこと
いままでのハンディキャップインデックス計算は、1か月のゴルフプレイスコアを月末に計算、毎月1日に更新されるという流れでした。しかし、今回新たに制定されたWHSではスコアを提出すると翌日にはハンディキャップインデックスが更新される仕組みとなりました。また、スコアを即日提出することによって、当日の天候やプレーのセッティングによって大きく、コース難易度が変わっていたとコンピュータが判断すると、調整値が得られる可能性が増えました。(即日提出をしなかったスコアはコース難易度の査定対象から除外されます)
そのため、スコアの提出およびJ-sysへの登録は即日提出が基本になります。
ゴルフ場運営者側がスコア登録の代行サービスを行っている場合は、運営者側がプレイヤーから当日提出されたスコアをその日のうちにJ-sysへ登録する必要があります。またプレイヤー側は、今まで1か月のスコアを纏めて月末にゴルフ場へ提出していた方は注意が必要です。先述した通り、当日の天候やプレーのセッティングによる調整値を得るには当日のスコア提出が必要となるからです。 J-sysへの登録もプレイヤー自身で行っているアスリートプレイヤーなども同様です。スコア提出およびJ-sysへの登録を自身で当日に行わなければ調整値を得ることはできません。
スコア登録の日時に注意が必要となりましたが、WHSではスコア登録の翌日にハンディキャップインデックスが更新されるため、常に適正なハンディキャップインデックスを得られることになりました。
ゴルフ場基幹システムへのワールドハンディキャップシステム(WHS)連携
三和コンピュータではゴルフ場様向けにゴルフ場基幹システムApproachをご提供しています。今回のハンディキャップシステムの変更に伴い、WHSに適応したコンペ集計アプリケーションや、J-sysとデータの送受信するアプリケーションをリリースいたしました。
既に、Approach上で旧ハンディキャップインデックスの仕組みをご利用のゴルフ場様であっても、新たにハンディキャップインデックスの利用を検討されているゴルフ場様であっても、ゴルフ基幹システムApproachであればWHSを利用できる環境がすぐに整います。
まとめ
ゴルフ競技におけるWHSの制定に伴い、「誰でも」「気軽に」「良いハンディキャップ」が取れるようになり、色々な競技種類やコンペにおいて、世界標準のハンディキャップでゴルフを楽しむことが出来るようになりました。
その一方で、スコア提出の部分においては今までと異なり、即日提出をする必要があります。スコア提出をゴルフ場運営者側が代行サービスで行っているゴルフ場などでは、今後スコア提出をプレイヤー自身に行ってもらうように変更するのか、それとも毎日J-sysにログインしてスコア情報をアップする必要があるのか?といった課題が今後出てくるかと思います。
三和コンピュータは、ゴルフの運営に関わる様々なご提案が可能です。WHSの導入ついて検討しているゴルフ場様、WHSの導入に伴いスコア提出代行サービスの運用見直しを検討しているゴルフ場様、ぜひお気軽にご相談ください。