Wi-Fi7とは?Wi-Fi6との違いやメリットを徹底解説

次世代の無線LAN規格として注目されるWi-Fi7は、通信速度や接続の安定性など多くの面で従来規格を上回る特長を備えています。本記事ではWi-Fi7の基本情報から、Wi-Fi6との違いや活用シーン、導入事例などを徹底解説します。
目次
Wi-Fi規格の基礎知識
Wi-FiとはIEEE(米国電気電子学会)によって標準化された無線通信規格の総称で、世代ごとに速度や通信効率が進化してきました。初期の標準規格から始まり、Wi-Fi4(802.11n)やWi-Fi5(802.11ac)、そしてWi-Fi6(802.11ax)と改良が重ねられています。バージョンが上がるごとにチャンネル幅や変調方式が改善され、私たちが利用できる通信速度や安定性も向上してきました。
世代 | 呼称 | 規格名 | 最大通信速度 | 周波数 |
---|---|---|---|---|
第7世代 (2023年) |
Wi-Fi7 | IEEE802.11be | 46Gbps | 2.4GHz帯/5GHz帯/6GHz帯 |
第6世代(2019年) | Wi-Fi6E | IEEE802.11ax | 9.6Gbps | 2.4GHz帯/5GHz帯/6GHz帯 |
Wi-Fi6 | 2.4GHz帯/5GHz帯 | |||
第5世代(2013年) | Wi-Fi5 | IEEE802.11ac | 6.9Gbps | 5GHz帯 |
第4世代(2009年) | Wi-Fi4 | IEEE802.11n | 600Mbps | 2.4GHz帯/5GHz帯 |
第3世代(2003年) | ー | IEEE802.11g | 54Mbps | 2.4GHz帯 |
第2世代(1999年) | ー | IEEE802.11a | 54Mbps | 5GHz帯 |
ー | IEEE802.11b | 11Mbps | 2.4GHz帯 | |
第1世代(1997年) | ー | IEEE802.11 | 2Mbps | 2.4GHz帯 |
Wi-Fi7が注目される理由
ITの進化に伴いさまざまな新技術が投入されてきたWi-Fiですが、最新のWi-Fi7が今注目を集めている背景を見ていきましょう。
Wi-Fi7は第6世代のWi-Fiと比較して、通信速度や同時接続数といった基本性能が大きく向上すると期待されています。特に最大46Gbpsという理論値は、従来の数倍に相当する高速通信を可能にし、これまで無線LANでは難しかった大容量データのリアルタイム送受信に期待が高まります。技術的には4096-QAMという高い変調方式が採用され、狭いスペースで大量のデータを効率的に転送できる点が大きなポイントです。
またWi-Fi7では、複数の周波数帯を柔軟に組み合わせることができる新しいアプローチが導入されています。これにより干渉を受けにくい帯域を自動的に選択できるほか、多くの端末が同時に接続しても速度低下や遅延が発生しにくくなる可能性があります。オンライン会議やビデオ通話などの機会が増える中で、こうした性能向上への期待こそがWi-Fi7に注目が集まる理由です。
高速化と大容量通信の背景
社会全体で高解像度動画や高品質のライブ配信など、大容量通信を要するコンテンツが増加しています。さらに企業ではクラウド利用が進み、一度に大量のファイルをアップロード・ダウンロードする機会も増えています。こうした流れに対応するべく、Wi-Fi7では従来よりも広い帯域幅(最大320MHz)を活用し、より高速かつ大容量の通信を実現しようとしているのです。
複雑化する接続ニーズとWi-Fi 6/6Eの課題
近年はIoT機器の普及に伴い、一般家庭からオフィスまでさまざまな種類のデバイスが同時接続されています。Wi-Fi6や6Eでも多端末接続性能の向上が図られましたが、より大規模な環境や高密度な接続を行う現場では、依然として帯域幅不足や混雑が大きな課題です。Wi-Fi7は新たな周波数帯運用技術によって、多様なデバイスが混在する接続環境でも高い安定性を保つことが期待されています。
Wi-Fi6との違いを解説
Wi-Fi6は速度や同時接続数で大きく進歩した規格ですが、Wi-Fi7ではそれらをさらに上回る性能が謳われています。たとえばデジタルデータを電波に変換する方式であるQAMがWi-Fi6では1024-QAMであったのに対し、Wi-Fi7では4096-QAMが採用されています。これにより、一度に送信できる情報量(ビット数)が10ビットから12ビットに引き上げれました。同じ周波数幅でも効率的にデータを送受信できるようになり、通信速度の大幅な向上に繋がります。こうした技術的な進化が、Wi-Fi7とWi-Fi6の最大の違いといえるでしょう。

通信速度の比較と最大帯域幅
Wi-Fi7では従来の160MHzを超える320MHzというチャネル幅をサポートすることで、理論上は最大46Gbpsという高速通信が可能とされています。これはWi-Fi6の9.6Gbpsと比べても大きい数値で、多数のデバイスが同時に高品質な接続を利用できるメリットがあります。帯域幅が広がった分だけ干渉を考慮する必要がありますが、適切な運用環境を整えれば圧倒的な通信速度を実現できるでしょう。
周波数帯域とチャンネル幅
Wi-Fi7はWi-Fi6Eと同じく2.4GHz・5GHz・6GHzの3つの周波数帯に対応しています。Wi-Fi7では新たにMulti-RU(Multi-Resource Unit)が追加され、1ユーザーあたりの周波数割り当てをさらに細かい単位で実現できるようになりました。従来は1ユーザーに1つのRU(Resource Unit)までの割り当てでしたが、Wi-Fi 7では、1ユーザーに複数のRUを割り当てることができるようになり、周波数の利用効率が向上します。
またWi-Fi6Eではオプション技術であったプレアンブル・パンクチャリング(穴あけ)がWi-Fi7では必須規格となりました。利用中のチャンネルに干渉波が発生した際、従来は分断されたチャンネルのうち一部分しか利用できませんでした。しかし、Wi-Fi7では干渉波の部分を穴をあけるように避け、分断されたチャンネルでもチャンネルの複数部分を同時利用できるため、より柔軟な通信が可能になります。

Wi-Fi7のメリットと活用シーン
Wi-Fi7は高速かつ大容量の通信により、動画の視聴や大容量データの送受信がこれまで以上にスムーズになります。これまで無線環境では難しかった4K・8K動画の同時ストリーミングも、Wi-Fi7なら帯域を十分に確保できる可能性があります。仕事の場面でもリアルタイムの映像コミュニケーションがより快適になるでしょう。実際にWi-Fi7を導入した場合に、どのような業務や生活シーンで活用できるのかを考えます。
高密度接続時の品質向上
企業のオフィスや公共施設など、多くの利用者が同時接続する場所では速度低下だけでなく、接続不良や遅延などの問題が起こりやすくなります。Wi-Fi7ではMU-MIMO※1やMLO※2といった技術が高度化されており、同時接続数が増えても効率よく通信リソースを割り当てられます。大勢が集まる環境下でも安定性を保てるため、ビジネスにおける生産性の向上や、イベント会場でのスムーズな運営に寄与できるでしょう。
※1MU-MIMO…Multi-User Multiple Input, Multiple Outputの略称。複数のデバイスが同時に1つの通信チャネルを共有することを可能にする機能 ※2MLO…Multi-Link Operationの略称。複数帯域の電波を同時に使う技術
リモートワーク・オンライン会議の効率化
在宅勤務やオンライン会議では、ビデオ通話と並行してファイルの共有やクラウドアプリケーションが利用されることが多く、ネットワーク負荷が増大しやすい傾向にあります。Wi-Fi7の高速通信とマルチリンク技術があれば、映像の乱れや音声の遅延を大幅に減らし、スムーズにコミュニケーションが取れるようになります。リモートワークが拡大する現代において、こうした安定した通信環境はビジネスの成果にも直結する重要な要素です。
オフィスや店舗のIoT機器導入
IT機器や防犯カメラ、POSレジなど、あらゆる機器がネットワークに接続される時代では、通信の安定性とセキュリティが大きな課題となります。Wi-Fi7の広い帯域幅と柔軟な周波数利用により、大量のIoT機器を効率的に運用することが可能になります。例えば販売管理や在庫管理など、リアルタイムで大量のデータを収集・分析するシステムも、Wi-Fi7ならスピーディかつ安定して稼働するでしょう。
Wi-Fi7への対応方法
新規導入や既存環境のアップグレードなど、Wi-Fi7への移行にあたり押さえるべきポイントを解説します。 Wi-Fi7に移行する際には、まず利用目的や環境を整理しておくことが大切です。高速回線を契約しているのか、多数のデバイスを同時接続するのかといった要件を明確にすれば、導入機器の選定や予算計画が立てやすくなります。
既存Wi-Fi6からの移行手順
まずは現在のネットワーク機器がWi-Fi7と互換性を持つか確認し、新たに対応ルーターや子機を導入する必要があるかを検討します。基本的な設定作業やアンテナ配置などは、Wi-Fi6と同様ですが、Wi-Fi7はより高い周波数帯を扱うため、設置場所や障害物の影響にも注意が必要です。段階的な移行を考える場合は、徐々にWi-Fi7対応を進めながら運用テストを行い、不具合を最小限に抑えることを目指すと良いでしょう。
対応ルーターやアクセスポイントの選び方
利用環境に適したスペックを持つ機器を選ぶには、最大通信速度や同時接続数、セキュリティ機能などを比較検討する必要があります。ハイスペックなモデルほど高価格になりがちですが、オフィスや店舗など多人数で利用する環境では安定した通信が優先されるケースも多いです。導入後の拡張性を視野に入れつつ、将来的に必要となる機能を見越した上で最適な製品を選択しましょう。
セキュリティと運用面での注意点
Wi-Fi7は高速かつ多機能であるがゆえに、セキュリティ設定の不備が重大なリスクに繋がります。WPA3などの最新暗号化技術への対応はもちろん、ファームウェアの定期的な更新や不要な機能の無効化といった基本的なセキュリティ対策も欠かせません。あわせて運用管理の負荷が高まることも考慮し、管理ツールやモニタリング環境を整備することが安全な無線LAN運用のカギとなります。
導入事例と専門家へ相談するメリット
実際にWi-Fi7を導入したケースから学び、専門家のアドバイスを活かす重要性を確認します。
Wi-Fi7は高いパフォーマンスを発揮する一方で、そのポテンシャルを十分に引き出すには適切な設計や設定が求められます。誤ったチャンネル設定やセキュリティ対策の不足は、逆に通信トラブルや情報漏えいリスクを高めてしまう原因になりかねません。実際の導入事例を見ると、ネットワーク構築のプロフェッショナルが関与することで、稼働後のトラブルが最小限に抑えられているケースが多くあります。
特に大規模オフィスや工場など、多くの端末が高密度に接続される環境では専門家の知見が不可欠といえます。建物の構造や機器の配置、運用要件に合わせて最適な周波数設計やルーターの選定を行うことで、Wi-Fi7の性能を最大限に引き出せます。難易度の高い導入作業でも、計画段階からプロのノウハウを取り入れることで、トラブルの発生リスクを大幅に低減できるでしょう。
通信環境の構築・改善に成功した事例
ある企業では、広範囲にわたる工場やオフィスを一括してWi-Fi7環境にアップグレードし、結果として大容量データのやり取りや生産ライン管理がスムーズになった例があります。従来のWi-Fiでは対処しきれなかった死角や混雑ポイントが改善され、業務効率や安全性が向上しました。このように、Wi-Fi7導入によって多彩な環境でメリットを享受できる可能性があります。
プロのノウハウを活かすポイント
ネットワークの隅々まで考慮した設計、障害が起きたときのトラブルシューティング、そして長期的な運用計画など、専門家の経験に基づく総合的なアプローチが重要です。最新技術であるWi-Fi7を導入する際は、複数の周波数帯を最適に活用するための調整やファームウェアのアップデート管理など、経験がないと難しい部分も多く存在します。プロのサポートを得ることで、初期投資を効率よく回収し、長期的に安定したネットワークを運用できるでしょう。
まとめ
通信規格の進化は私たちのビジネスや生活を大きく変化させます。Wi-Fi7の特徴を理解し、導入を検討することでより快適な接続環境を実現しましょう。
Wi-Fi7は高速性や安定性、そして同時接続数の多さなど、あらゆる面で従来規格を上回るポテンシャルを持っています。大容量コンテンツのスムーズな利用や多数のIoTデバイスの安定稼働など、あらゆる場面でネットワークのストレスを軽減できる可能性があります。一方で導入には設備投資やセキュリティ対策などの課題も伴うため、必要性やコスト面を十分に考慮しながら最適な選択をすることが大切です。
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