IT機器のメーカー保守期限切れで起こる4つのリスクとは、その対処法について

最終更新日:2025年5月22日
本記事は2022年7月27日に公開された記事を再編集しております。
ビジネスシーンではサーバやストレージ、ネットワーク機器など様々なIT機器が使われています。それらIT機器のメーカーが定める保守期限は5年~7年に設定されていることが多く、保守期限が過ぎても機器を使用し続けると様々なリスクが顔をのぞかせます。
あなたの会社で、メーカーの保守期間がすでに終了しているIT機器をそのまま使っていませんか?
この記事では、メーカー保守期限切れで起こりうるリスクと、その具体的な対処法として近年注目を集める第三者保守サービスについて、その概要や活用事例まで含めて解説します。
目次
IT機器のメーカー保守期限切れで起こる4つのリスク
保守サポート期間が終了したサーバやストレージなどのIT機器をそのまま使い続けると、どのようなリスクがあるのでしょうか。重要なデータの消失や業務の停止、社会的信頼の失墜など影響範囲は多岐にわたります。IT機器の老朽化にともなう故障率の変化と保守期限が切れた機器を使い続けるリスクについて見ていきましょう。
老朽化によるIT機器の不具合や故障が起こる可能性がある
出典:「職場のあんぜんサイト」(厚生労働省)(https://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo59_1.html)(2022年7月25日に利用)
「職場のあんぜんサイト」(厚生労働省)(https://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo59_1.html)を加工して作成
上記はバスタブ曲線(故障率曲線)といい、時間が経過することによって起こり得る機器の故障率の変化を示したグラフです。
IT機器の使用開始直後は、初期不良で故障が発生する可能性がありますが、その後これらの故障は収まり、時間が経つとまた経年劣化や環境要因によって故障率が増加します。IT機器は恒久的に使い続けることができません。
長年使用していると老朽化が進み、故障や不具合が起こる可能性が年々増えてしまいます。具体的には、モータが使用される部品(ハードディスク、ファン)、コンデンサーが使用される部品(電源、マザーボードなどの基盤)の故障が多くなります。老朽化による部品故障によって動作不良が増加すると、正しくIT機器が動作しないため業務に影響を与える危険性があります。 継続して安全に使用するためには、老朽化した故障部品を新しい部品に交換しなければなりません。
メーカー保守期限が切れることで考えられる代表的なリスクについて4つ挙げます。
重要なデータが消失し、社会的信頼を失う可能性がある
故障によりサーバが正常に起動しない場合、重要なデータにアクセスできなかったり、会社の機密情報や顧客情報などのデータ消失の危険があります。
売上や在庫のデータにアクセス出来ず業務が停止してしまったり、請求書が発行できないことで取引先に対して影響を与えてしまうなどのリスクもあります。顧客に対してもサービスや商品の提供が停止してしまうため、サーバ故障による影響は広範囲に及びます。
また、システムの安定稼働や管理への姿勢を問われ、社会的信頼の失墜、企業のイメージダウンを招く可能性があります。
自力で保守をする必要がある
サーバが壊れたらメーカー保守期間終了後でもスポット修理※を依頼すれば良いのでは?とお考えの方も多いのではないでしょうか。
しかし、多くのメーカーはスポット修理について「部品の保有期間を終了している製品については修理を受けられない場合がある」としているため注意が必要です。そのため、スポット修理も出来ない可能性があります。
メーカーによる修理ができなかった場合、自社で修理をする必要があります。メーカーが保守をしてくれるのであればWEBサイトには載っていないような問題も解決できるかもしれませんが、自力で原因を特定し、筐体を開けてどのように部品交換をすればよいか等の情報をWEBで収集し、修理を行うには限界があります。
※スポット修理…故障や障害発生時にその都度保守対応を依頼する方法。
故障部品を自力で調達する必要がある
前項でも述べましたが、メーカーの保守期限が切れると修理や部品交換などの保守が受けられなくなります。そのため、故障・不具合が起きた際には自社で部品調達・修理の対応をしなければならなくなります。しかし、部品の生産が終了している可能性もあるため、自力で調達することは困難を極めます。
また、企業で利用しているIT機器は多種多様なため、どのIT機器のどの部品が故障するのかは想定できません。自力で保守を行う場合は突然の故障に備えて、各IT機器に対応する予備部品を常に準備しておく必要性がありますが、代替部品を収集するコストと時間、保管場所確保の問題も起こります。
メーカーの保守期限切れの対処法とは
メーカー保守が切れた状態において、具体的にどのような対策が取れるのかを見ていきましょう。
最も基本的な対処法としては、機器のリプレイスを行うことが挙げられます。ただし投資計画やIT機器に搭載しているシステムの更新のタイミングといった事情より、すぐに機器の入れ替えが難しい場合もあるかと思います。引き続き既存機器を使用する場合は、部品調達先やサポートする技術者の確保など、長期的な視点でのメンテナンス計画が重要になります。社内の情報システムスタッフだけでの保守体制に不安があるなら、第三者保守業者に相談するのも有効な手段です。
広がる選択肢としての第三者保守サービス
メーカー保守が受けられない状況でも、第三者保守サービスの活用により安定したシステム運用を実現することが可能です。
第三者保守は、メーカー以外の専門業者が保守サービスを提供する仕組みで、EOSL(保守終了)後のIT機器の修理や維持管理に焦点を当てています。メーカー保守にはない柔軟なサポートプランや古い機種にも対応できるノウハウ、部品流通ルートを独自に持つ業者も少なくありません。各種サーバ、ストレージ、ネットワーク機器などさまざまなIT機器の保守をマルチベンダーで提供でき、IT機器の故障の原因部品を特定したのち独自の商流から該当部品を調達し、修理などの対応を行います。
特にオンサイト修理やセンドバック保守、オーバーホール保守、パーツ提供など多様なメニューを提供している第三者保守業者を選ぶことで、さまざまなトラブルにも柔軟に対応できるでしょう。ただし、サービス品質やベンダーの事業継続性などを十分に確認し、必要な期間中、安定的に保守を受けられるかどうかを見極めることが大切です。
第三者保守(延長保守)の活用事例
当社が提供する第三者保守(延長保守)サービスの活用事例をご紹介します。
①オンサイトスポット修理
お問い合わせ内容 | 現在使用しているNECのサーバが故障。 メーカー保守は終了しているが、サーバを継続利用したいためスポット修理をして欲しい。 |
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当社が提供したサービス | オンサイト保守のスポット修理をご提供いたしました。ご申告内容から、被疑箇所を電源ユニットまたはマザーボードと判断いたしました。 故障の可能性が高い電源ユニットの交換で復旧しなければマザーボードの交換を想定していましたが、無事電源ユニットの交換で復旧し正常動作を確認できました。 被疑箇所の部品を事前に調達し、現地で切り分け交換作業を行うことも可能です。 |
②パーツ販売
お問い合わせ内容 | 施設の機器の制御装置としてサーバを導入しているが、10年の運用が必要なためメーカー保守終了を見据えてコールドスタンバイの予備機を購入して備えてきた。 しかし想定より多く、電源ユニットやファン、ハードディスクなど経年劣化での故障が多発してきたため、正常な予備機も少なくなってきた。 メーカーにスポット修理を依頼するが部品の在庫がなく対応不可との回答で、残り期間の運用に不安を抱えている。パーツや予備機の提供は可能か。 |
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当社が提供したサービス | 当社の独自ルートで入手したパーツをご提供いたしました。故障頻度や運用状況についてお客様から詳しくご説明いただけたことで、どれくらいの部品準備が必要か想定でき、スムーズに部品調達が出来ました。当社では、パーツ販売サービスとして保守部品や予備機の調達と販売も可能です。 第三者保守(延長保守)で使用する保守部品は、保守期限が経過しメーカー部品がなくても、当社が独自に展開している入手経路や流通経路で代替部品・リファービッシュ品など高品質な部品を調達しています。 |
ここに記載したほかにもさまざまな事例がありますのでご覧ください。対象機器やお問い合わせ内容、提供したサービスを紹介しております。
まとめ
メーカー保守期間終了後にIT機器をそのまま使用し続けると、突然の故障や不具合により機器が使用できなくなる可能性があります。機器が故障すると業務が一時的に停止するだけではなく、データ消失や復旧までのサービス停止などから社会的信頼の失墜による企業のイメージダウン、事業継続ができない、といった大きなリスクが発生します。
メーカー保守が終了しても、運用体制を整え代替サービスを活用することで、IT機器を継続利用しながらリスクを抑えることができます。 三和コンピュータの第三者保守(延長保守)サービスはメーカーで教育を受けたエンジニアが多数在籍し、突然の故障にも迅速にかけつける体制を整えており、保守会社として創立して以来50年以上にわたり培った、技術とノウハウがあります。また、独自ルートで部品調達するため、保守期限が経過しメーカー部品がなくても代替部品など高品質な部品を確保できます。
サーバが故障し修理を依頼したくてもメーカー保守が終了していて修理できずに困っていたり、メーカーの保守期限切れの迫ったIT機器の継続利用をご検討の際には、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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