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2024年に実施される法改正情報

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 この記事では2024年1月に完全義務化された電子帳簿保存法のおさらいと、今後予定されている法改正の中でも多くの企業で当てはまる可能性が高い2024年4月の法改正の情報を中心にご紹介いたします。




2024年1月1日~ 電子帳簿保存法が完全義務化!

 改正電子帳簿保存法は、2022年1月1日から開始されました。国税に関する法律の規定により保存をしなければならないと定められている帳簿や書類(損益計算書などの決算書、領収書や契約書、見積書など)を電磁的記録などにより、保存するときの方法について定めた法律です。宥恕措置が2年間設けられていましたが、2024年1月1日からは改正電子帳簿保存法が完全にスタートとなりました。

電磁的記録とは

(引用)
法第2条第3号に規定する「電磁的記録」とは、情報(データ)それ自体、あるいは記録に用いられる媒体のことではなく、一定の媒体上に情報として使用し得る(一定の手順によって読み出すことができる)ものとして、情報が記録・保存された状態にあるもの、具体的には、情報がHDやCD等に記録・保存された状態にあるものをいう。

(出典)
国税庁."法第4条((国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存等))関係".国税庁.2024-03-12,https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/r02/01.htm



 2022年1年の改正電子帳簿保存法では下記の変更が加わっています。

  • 電子帳簿保存制度の事前承認制度を廃止
  • 国税関係書類に係るスキャナ保存の要件緩和
  • 検索要件の緩和
  • 適正事務処理要件の廃止
  • 電子取引に関する電子データ保存の義務化
  • 罰則規定の制定


 2023年12月31日までは猶予措置があり、電子取引の保存要件を満たせないやむを得ない理由がある場合には、従来通り書面での保存を認められていました。しかし宥恕措置は2023年12月末までとなっており、2024年1月からは原則として電子取引で授受した取引情報は電子保存することになります。ただし、以下すべての要件を満たす場合には猶予措置が認められます。

  • 保存要件に従って保存できなかった相当の理由があり、所轄の税務署に相当の理由があると認められること
  • 税務調査の際に要求された電子取引データのダウンロードの求めに応じること
  • 税務調査時の際に要求された書面の提示または提出の求めに応じられること


 1項目であげられている相当の理由とは自己都合も含めて保存環境が整っていない事情がある状況が該当します。国税庁の「令和5年度 電子帳簿保存法一問一答」では以下のようなケースを例に挙げています。

  • 電子取引データの保存は可能だが、保存するためのシステムや社内のワークフロー等の整備が間に合わない
  • 保存システムやワークフロー等はあるが、資金繰りや人手不足等の対応ができない理由がある

など

 上記のような相当の理由に当てはまらず、満たすべき要件にしたがって保存ができる状況にもかかわらず電子保存を行っていない場合、猶予措置は不適用となるため注意が必要です。 また、上記のようなケースにあてはまっているとしても、あくまで猶予措置であるため、電子取引で授受した取引情報は電子保存が原則となります。




2024年4月以降に施行が決まっている内容、検討されている内容

 前項の電子帳簿保存法のように、これまで世情の変化に伴いさまざまな法令が制定・改正されてきました。それでは、2024年以降どのような改正が検討されているのでしょうか。

2024年4月1日施行

  1. 時間外労働の上限に関する猶予期間終了(医療・建設・運輸業界)/労働基準法
  2. 労働条件明示義務の範囲の拡大/労働基準法
  3. 裁量労働制の導入・継続に必要な手続きの追加/労働基準法
  4. 事業者による障害のある人への合理的配慮の提供が義務化/障がい者差別解消法


 2024年4月1日から施行開始になるものから今回は上記4つの内容をみていきたいと思います。


時間外労働の上限に関する猶予期間終了(医療・建設・運輸業界)/労働基準法

 2018年の働き方改革関連法に伴う2019年の改正労働基準法の施行以降、一般企業においては既に時間外労働の罰則追記上限規則について適用されています。労働時間は原則として、1日8時間、1週40時間までと労働基準法で定められています(法定労働時間)。この時間を超えて働くことを法廷時間外労働(残業)といい、その上限と法廷時間外で労働者をはたらかせる場合に必要となる手続きについて2019年の法改正で明文化されました。
 しかし、医師や建築業、運送業では長時間労働の背景として、業務の特殊性や取引慣行の課題があることから、時間外労働の上限規制の設置猶予が設けられていました。ですが、2024年4月からはほかの業種と同様に時間外労働のルールが適用されることになります。



労働条件明示義務の範囲の拡大/労働基準法

 労働条件の明示とは、企業と従業員による雇用契約締結後の労使トラブルの防止・労働者の保護を目的として制定されおり、会社は労働者を雇用した際に労働条件を明示する義務があります。 2024年4月1日の改正では、労働条件を明示する際に労働者に交付する書面(通称:労働条件通知書)に下記4つの新しい項目の追加が必要となります。

<全ての労働者に対する記載事項>

  • 就業場所および従事すべき業務の変更の範囲


<有期雇用の労働者に対する記載事項>

  • 更新上限の有無および内容
  • 無期転換申込権が発生する更新のタイミングごとに、無期転換を申し込むことができる旨
  • 無期転換申込権が発生する更新のタイミングごとに、無期転換後の労働条件


無期転換……労働契約法の改正により、同一の使用者(企業)との間で、有期労働契約が更新されて通算5年を超えたときに、労働者の申込みによって無期労働契約に転換されるルール

企業は新しい項目を反映させた労働条件通知書を作成する必要があります。 なお労働条件通知書の作成に当たっては、厚生労働省がひな形(テンプレート)を提供しています。

参照:厚生労働省."主要様式ダウンロードコーナー (労働基準法等関係主要様式)".厚生労働省.2024-03-12.https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudoukijunkankei.html



裁量労働制の導入・継続に必要な手続きの追加/労働基準法

 裁量労働制に関するルールの改正が2024年4月1日から施行され、裁量労働制の導入および継続のために新たな手続が要求されることになります。裁量労働制とは、労働基準法所定の業務を遂行する労働者について、実際の労働時間数に関わりなく、労使協定や労使委員会の会議で定められた時間を労働したものとみなす制度を指します。
 裁量労働制には2種類あり、専門業務型裁量労働制(以下、「専門型」)と企画業務型裁量労働制(以下、「企画型」)に分けられます。 2024年4月の改正に伴い対応が必要な事項は下記です。

  1. 本人の同意を得る・同意の撤回の手続きを定める(専門型・企画型)
  2. 労使委員会に賃金・評価制度を説明する(企画型)
  3. 労使委員会は制度の実施状況の把握と運用改善を行う(企画型)
  4. 労使委員会は6か月以内ごとに1回開催する(企画型)
  5. 定期報告の頻度の変更(企画型)


 具体的には、専門型の労使協定に1を追加、また企画型の労使委員会の運営規程に2、3、4を追加後、決議に1、2を追加し、裁量労働制を導入・適用するまで(継続導入する事業場では2024年3月末まで)に労働基準監督署に協定届・決議届の届出を行わなければなりません。 そして、同施行日(2024年4月以降)を有効期間に含む場合は、専門型の労使協定、および企画型の労使委員会決議は、追加になる以下を含む事項を協議のうえ、協定・決議している必要があります。本改正に適合したものではない場合には、施行日以降は無効とされます。 追加になる事項はそれぞれ下記です。

専門型の労使協定
  • 制度の適用に当たって労働者本人の同意を得ること
  • 制度の適用に労働者が同意をしなかった場合に不利益な取扱いをしないこと
  • 制度の適用に関する同意の撤回の手続

企画型の労使委員会の決議
  • 制度の適用に関する同意の撤回の手続
  • 対象労働者に適用される賃金・評価制度を変更する場合に、労使委員会に変更内容の説明を行うこと


参照:厚生労働省."事業主の皆さまへ 裁量労働制の導入・継続には新たな手続きが必要です".厚生労働省.2024-03-12.https://www.mhlw.go.jp/content/001080850.pdf



 そのため、新たに裁量労働制を実施しようとする企業のみならず、現時点で裁量労働制を実施している企業も対応が必要です。2024年4月1日の施行日以降に裁量労働制を新たに、または継続して実施するためには本改正に基づく対応が必要となるため、実務上重大な影響が生じ得ます。したがって、企業においては、施行日に先行して早期に対応を検討することが必要になると考えられます。



事業者による障害のある人への合理的配慮の提供が義務化/障がい者差別解消法

 2021年5月に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律」が成立し、障害者差別解消法が改正されました。同改正の中でそれまで努力義務にとどまるとされていた「事業者による合理的配慮の提供」が事業者の法的義務とされることになり、2024年4月1日から施行開始となります。
 では、合理的配慮の提供とはどのような内容を指すのでしょうか。合理的配慮の提供は、事業者にとってその実施に伴う負担が過重でないときに求められますが、過重な負担に当たるかは、以下の事情を考慮して検討すべきとされています。

  • 事業への影響の程度
  • 実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約)
  • 費用・負担の程度
  • 事務・事業規模
  • 財政・財務状況

また、合理的配慮の提供とは、必要かつ合理的な配慮を行うことですが、必要かつ合理的な配慮とは、事業者の事業の目的・内容・機能に照らし、以下の3つの要件を満たすものをいいます。

  1. 必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること
  2. 障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること
  3. 事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないこと


内閣府が提示している、合理的配慮の提供が必要かについての検討プロセスは以下のとおりです。


参照:内閣府.” 障害を理由とする差別の解消の推進相談対応ケーススタディ集”.内閣府.2024-3-12. https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/tyosa/r04jirei/pdf/case_study.pdf

法的判断の検討プロセスをもとに判断し、対応していくことが重要と考えられます。

法令改正に速やかに対応していくためには

 このように労務管理をはじめとし、企業に関する法律は過去にも複数施行されたり、今後も改正が予定されていたりと時代によって変化してきています。働き方の変化や技術の改革などからその時々に応じて現行の法令規定に沿った給与管理や勤怠管理などを行う必要があります。Excelによる手作業やタイムカードによる打刻、自社で独自に開発したシステムなど、労務管理をどのような方法で運用していても、新しい法令基準に沿った管理方法へ変更しなければいけないことはどの企業も変わりません。
 しかし、労務管理を手作業で行っていると、これらの対応に追われるばかりでその他の日々の業務が滞ってしまうことが想定されます。法令改正に速やかに対応するには、会計・人事・給与などの基幹業務に対応した業務システムを導入することが非常に有効です。メーカーが販売している基幹業務システムは、法改正による新制度にスピーディーに対応したアップデートやバージョンアップを提供していることが多いためです。



まとめ

 労働基準法をはじめとした労務管理に関する法令は、改正が行われたり、新しい法律ができたりと、毎年のように対応が迫られます。法令遵守は企業活動を続けるうえで守らなければいけない大切な事項の一つです。新しい法令基準に沿った管理に都度対応するには業務システムを導入し管理することが非常に有効です。

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