第三者保守で知っておくべき用語19選
日本のIT環境では、システムの保守や運用に関する多くの専門用語が飛び交っています。特に第三者保守における用語を理解することは、IT運用をスムーズに進める際に非常に重要です。第三者保守は、メーカーや正式な保守ベンダー以外の第三者による保守サービスを指します。この形式の保守は、コスト削減や運用の柔軟性向上に貢献するため、多くの企業で採用されています。しかし、第三者保守には独自の専門用語が多く含まれており、その理解が必要不可欠です。このガイドでは、第三者保守に関連する代表的な19の用語をわかりやすく解説します。
目次
保守サービス提供会社
①保守ベンダー
保守ベンダーとは、IT機器やシステムのメンテナンスサービスを提供する企業や団体のことです。企業が使用するITインフラの安定運用を支えるために、保守ベンダーは不可欠な存在です。 保守ベンダーは、システムの安定運用や障害対応を専門的に行うことで、企業のIT環境を最適な状態に保つという重要な役割を果たします。
信頼性の高いベンダーを選び、万が一のトラブル時にも迅速かつ適切な対応が行えるようにすることで、企業はそのIT資産を最大限に活用し、業務の効率化・安定化に繋げることができるでしょう。
保守サービスの提供種類など
②メーカー保守
メーカー保守は、ハードウェアやソフトウェアの製造元が提供する保守サービスです。当然のことながらメーカー自身が製品に対する深い理解を持ち、信頼性の高いサポートとアップデートを提供します。メーカー保守があることで、企業は安心して製品を購入し利用することができます。
さらに、サポート内容によっては定期的なメンテナンスや予防保守も行われ、機器の安定稼働を支援します。信頼性とサポート品質を重視する企業にとって、メーカー保守は必要不可欠なものといえるでしょう。
③延命保守
延命保守は、システムや機器のメーカーが提供する公式サポート終了後も使用し続ける際の保守をさします。公式サポートが終了したからといって、全てのシステムや機器をすぐに新しいものに置き換えるのは大きなコストが発生しますがまだ使い続けたい機器を延命させることで、経済的な負担を軽減し、資産を最大限に活用できます。
延命保守を活用することで、企業はコスト削減と既存資産の有効活用を図ることができます。専門のベンダーと適切な保守契約を締結し、既存のインフラを効果的に利用することが重要です。
④延長保守
延長保守とは、製品やシステムのメーカーサポートが終了した後に、その保守契約を延長する手段を指します。これは、メーカーが公式に提供するサポートが終了した後も、システムの安定稼働を維持し続けるための重要な選択肢です。似た言葉で先ほど出てきた「延命保守」というのがありますが、この2つの言葉は同義と捉えてよいでしょう。
製品のライフサイクルの終了後、新しい製品やシステムへの移行に必要となる導入準備期間を確保したり、全体的な予算の調整を行ったりする上で、延長保守が非常に役立ちます。延長保守を利用することによって、システムの安定性を維持しつつ予算の節約が可能になります。新しい機器やシステムへの移行を計画的に行い、急な更新によるリスクやコストを大幅に軽減することができます。
延長保守は、メーカーサポート終了後のシステムや製品運用における重要な選択肢として、多くの企業や組織にとって必須のサービスとなり得ます。特に、大手企業や長期間にわたり安定したシステム運用が求められる企業では、その価値は非常に高いといえるでしょう。
⑤第三者保守
第三者保守はメーカー以外の第三者であるベンダーが提供する保守サービスです。これはメーカー保守が終了しても、その製品を引き続き使用し続ける際の安定した運用に非常に有効です。
第三者保守を利用することで、既存のIT資産を最大限に活用しつつ、運用コストを削減することができるため検討する価値があります。特に予算が限られている場合や、特定のシステムや機器に強い依存があり簡単に入れ替えられない場合には、このような柔軟でコスト効果の高い保守の検討が重要です。
販売・サポートに関する用語および略語など
⑥EOSL(End of Service Life)
EOSL(End of Service Life)は、その製品がメーカーによるサポートが完全に終了した時点を示します。この段階に到達すると、メーカーからの修理や部分的な更新サポートが一切受けられなくなります。これに伴い企業はリスクを抱えることとなり、EOSLに対応する必要があります。
例えば、あるネットワーク機器がEOSLに到達した際に、機器の入れ替えや障害時の修理先の確保を行っていなかった場合、部品調達や修理の問い合わせに手間と時間がかかり、結果として業務の安定性が損なわれる可能性が高まります。 したがって、EOSLに達する前に適切な対策を講じることでビジネスの継続性を確保しましょう。
⑦EOL(End of Life)
EOL(End of Life)とは、製品やサービスが公式に終了する時点を指し、EOSLと同義です。この状態に達するとメーカーからの公式なサポートや更新が終了し、セキュリティリスクが増加する可能性があります。
例えば、あるソフトウェアがEOLに達した場合、そのソフトウェアに新しいセキュリティホールが発見されても修正パッチが提供されないため、利用を続けるとシステム全体が攻撃に対して脆弱になります。 EOLを迎えた製品やサービスの使用はセキュリティリスクを伴うため、第三者保守の選択や新しい製品への移行を検討する必要があります。
⑧EOE(End of Engineering)
EOE(End of Engineering)とは、製品やシステムに対する技術サポートが終了する段階を指します。これは、製品の開発チームが新しい技術や製品の開発にシフトするため、旧製品の技術的なサポートを続けることが難しくなることから設けられています。
具体例として、あるソフトウェア製品の開発が終了し、新バージョンへの技術サポートが提供される一方、旧バージョンへの技術サポートは停止するケースが該当します。このような状況では、旧バージョンを使い続けることはリスクとなり得ます。またEOE段階にある製品を使用している場合、将来的なサポートの欠如を考慮に入れて、早期に対応策を講じることが重要です。
⑨EOS(End of Sales)
EOS(End of Sales)は、製品の販売終了を指す言葉です。メーカーが製品の新規販売を終了することにより、市場からその製品がなくなることを意味します。例えば、特定のサーバーモデルがEOSに達すると、全く同じ製品は手に入らなくなることから、後継機の情報収集を始める必要があります。
EOSのタイミングをあらかじめ把握しておくことで、余裕をもって後継製品への移行計画を立てたり、現在使用している製品の安定運用のため保守契約を更新したり、必要な部品をストックすることが可能になります。
保守サービスの作業内容・対応範囲など
⑩スポット修理
スポット修理は、必要な時にだけ修理を行う保守形態です。コストを抑えることができるため、頻繁に故障しない機器やシステムに適しています。定期的な保守契約を結ぶ必要がなく、必要な際にのみ対応するため、特定の状況下で非常に効果的な保守方法です。
例えば、年に数回だけ使用される特殊な機器に関しては、定期的な保守契約よりもスポット修理が適しています。さらにスポット修理を利用することで、通常の保守契約では発生しがちな無駄なコストを削減し、必要な部分にだけ予算を割くことが可能となります。スポット修理を上手に活用することで、設備保守の効率性とコストパフォーマンスのバランスを取ることができるのです。
⑪オンサイト修理/保守
オンサイト修理/保守は技術者が現地に赴き、直接機器を修理・保守するサービスです。機器が現場で稼働している場合、即座に対応しないと業務に支障をきたすことが多いため、迅速な対応が求められます。
例えば、大規模なデータセンターでサーバが故障した場合、技術者が現地に急行し即座に修理を行うことで、サービスダウンの影響を最小限に抑えることができます。また、オンサイト修理/保守には技術者が直接現場で問題のある機器を確認し、その場で修理を行うため、問題の切り分けがスムーズに行えるというメリットもあります。これにより、正確な故障箇所の特定が可能となり、適切な対策を迅速に実施することができます。そして、問題解決のスピードが向上することで、コスト削減や業務の効率化にも繋がります。
⑫オーバーホール保守
オーバーホール保守は、機器を一度完全に分解し、必要な部品を交換または修理することで、性能を最大限に引き出す保守方法です。この方法は古くなった機器をリフレッシュし、延命させることが可能になります。また、予防保守としての側面もあり、将来的な故障を未然に防ぐ効果があります。これにより、お客様は長期的な安定稼働が可能になり、コスト削減のメリットを享受することができます。
例えば、製造現場で使用される機械をオーバーホール保守することで、新品同様の性能を取り戻し、生産効率を上げることができます。継続利用を前提とした運用や、予算制約のある場合に非常に有効な戦略となります。
⑬予防保守
予防保守は、システムや機器の故障を未然に防ぐための重要な取り組みです。故障が発生してからの修理では、企業の運用や業務に大きな支障をきたし、場合によっては顧客に対する信頼性も失われるリスクがあります。
例えば、定期的な点検や部品の交換を計画的に行うことで、突発的なトラブルを防ぐことができます。特に、金融機関やデータセンターなど、システムの安定稼働が求められる現場では、予防保守は必須の取り組みです。また予防保守を実施することで、システムの安定性と寿命を延ばし、総コストを削減することができます。
⑭センドバック保守
センドバック保守とは、故障した機器をメーカーや保守業者に送り修理を受ける保守サービスです。専門の修理工場での修理作業により、精度の高い修理が期待できます。
例えば、サーバが故障した場合、センドバック保守では修理のために一時的に予備機のサーバを利用しながら、故障したサーバをメーカーに送って修理してもらう形になります。この方法は、常時稼働が求められる機器に適しています。修理が完了したサーバは再度現場に戻され、運用に復帰することができるため、業務の中断を最小限に抑えることが可能です。エンジニアが訪問する必要がないため、エンジニアの出張費や時間の節約にもなります。
全体として、センドバック保守は効率的かつ経済的な保守方法として広く利用されています。
保守サービスに使用される部品および機器
システム入替に関する用語
⑮リファービッシュ品
リファービッシュ品は、新品ではありませんが、品質が保証された再生品です。これらの製品は、初期不良品や何らかの理由で返品されたり不要になった部品を修理し、機能検査を行い、新品同様の性能を持つように再生されたものです。 コスト面で新品よりも優れているため、予算を有効に活用できます。
また、メーカーや専門の業者が再生工程を管理しているため、品質が保証されており、不安なく使用することができます。このようなリファービッシュ品は、特にIT機器やネットワーク機器に多く採用されており、延命保守や継続使用を考える企業にとっては非常に有用です。
⑯中古品
中古品は新規購入よりもコストを抑えるための良い選択肢です。中古品は通常、新品に比べて価格が大幅に低いため、コスト削減を実現できます。また、性能や機能に大きな違いがない場合も多いため、実用性を損なわずに導入できます。
例えば、IT機器やネットワーク機器を中古で購入することで、初期コストを50%近く削減できるケースもあります。それでも機能が十分で、企業の運営に支障が出ない場合が多いです。中古品の活用はコスト削減と同時にリソースの有効活用にもつながります。
⑰モダナイゼーション
モダナイゼーションは、既存のシステムを最新の技術や構造に変えるプロセスです。古いシステムは時間の経過に伴い時代に合わなくなるため、効率やセキュリティに問題が生じる可能性があります。最新の技術にアップデートすることで、ビジネスの競争力を維持し、コスト削減を図ることができます。
例えば、旧式のメインフレームシステムをクラウドベースの構造に移行することで、運用コストが削減され、拡張性が向上します。また、クラウド技術を活用することで、データのバックアップやリカバリも簡単になります。さらに、クラウド環境に移行することで、必要なリソースを柔軟に増やし処理能力を向上することができるため、ビジネスの変動に迅速に対応できます。
⑱リプレース
リプレースとは、古くなったシステムや機器を新しいものに置き換えることを指します。技術の進化やビジネス要件の変化により、古いシステムが新しいニーズに対応できなくなることがあるため、この措置が求められます。これにより、効率性とパフォーマンスが向上し、企業の競争力を維持することが可能となります。
例えば、古いサーバを新しいサーバに置き換えることで、処理速度や全体的なパフォーマンスが向上します。さらに、ハードウェア機器のリプレースにより最新のセキュリティパッチやアップデートが適用されるためセキュリティ対策も向上します。 企業は、リプレースを通じてビジネス要件に迅速に対応できる体制を整え、さらなる成長を実現することが期待されます。
⑲マイグレーション
マイグレーションとは、システムやデータを新しい環境に移行するプロセスを指します。技術の進化に伴い、古いシステムは性能やセキュリティ面で問題が生じることが多くなります。先ほどご紹介した「モダナイゼーション」と似ているところがありますが、違いがあります。まず定義としては「モダナイゼーション」は古いシステムや技術を最新のものに更新するプロセスとなります。
一方「マイグレーション」は既存環境から別のものへデータやシステムを移行するプロセスです。 更新や再構築を行うため高コストになる「モダナイゼーション」と違って、「マイグレーション」は移行や転送で主な処理を行うので短期的な環境整備とコスト削減が見込めるというメリットがあります。
例えば、昔ながらのオンプレミスサーバーからクラウド環境へのデータ移行や、内製のERPシステムから最新のSaaSサービスへの移行が典型的な事例です。 技術が急速に発展している現代において、古いシステムをそのまま使用し続けることは、性能の低下やセキュリティリスクの増大を引き起こすことがあります。
このため、最新の技術やプラットフォームに移行するマイグレーションが重要となります。システム移行には一定のコストやリソースが必要ですが、長期的な視点で見ると運用コストの削減やトラブル発生時のリスク軽減といった恩恵が得られるため、非常に重要なステップとなることは間違いありません。
まとめ
今回は第三者保守に関連する19個の用語についてご紹介しました。 いざサービスを利用するとなった時に専門用語ばかりで不安にならないためにも、用語や意味を知っておくことが重要です。
三和コンピュータが第三者保守ベンダーとして提供する延長保守サービスは、メーカーで教育を受けたエンジニアが、突然の故障にも迅速にかけつける体制を整えており、保守会社として創立して以来50年間にわたり培った、技術とノウハウがあります。また、独自ルートで部品を調達するため、メーカー保守期限が終了しメーカーに部品がなくても代替部品などの高品質な部品を確保することが可能です。全国多拠点対応や、希少機器の修理対応など、ご要望に合わせて最適な保守プランを提案し、コストパフォーマンスの高いサービスを実現いたします。
第三者保守(延長保守)サービス活用ガイド
第三者保守(延長保守)の概要と、三和コンピュータのサービス内容がわかる活用ガイド冊子です。
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