
オフィス移転で「Wi-Fiがつながらない」を防ぐ!事前サーベイの重要性
オフィス移転は業務環境を見直し、生産性を向上する大きなチャンスです。しかし、業務を支えるネットワーク環境および「Wi-Fi」の設計を行うにあたり、近隣オフィスなどの電波干渉や新オフィスの構造による電波の減衰など、事前に把握しないと「移転後に通信不良が続く」という失敗につながるリスクがあります。
この記事では、オフィス移転前になぜWi-Fiサーベイ(電波調査)を実施する必要があるのかを分かりやすく解説します。調査データに基づいた最適なWi-Fi設計で、移転後の通信トラブルを防ぎましょう。
オフィス移転前のWi-Fiサーベイは、通信不良を防ぐための必須ステップ
クラウドサービスの利用やオンライン会議の増加などにより、従来のネットワーク環境では処理しきれず、通信品質に課題を抱えている企業も少なくありません。そんななかオフィス移転は、新しい環境で最適なWi-Fi設計を一から構築できる貴重なチャンスです。しかし、多くの企業は移転計画の中でWi-Fiの設計をあまり重要なことだと捉えず、事前調査を行わず、開業後に「特定エリアでつながりにくい」「Web会議が頻繁に切れる」といった通信不良に見舞われるケースがあります。
建物の構造や周辺環境は、移転前の実地調査なしには把握できません。現在のオフィスで起きている通信トラブルを新しい環境に持ち込まないためには、移転前にWi-Fiの電波状況を調査し、最適な設計をすることが重要です。
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移転後に「つながらない」を繰り返さないために
移転後のWi-Fi通信不良は、利用者からの問い合わせ増加や業務効率の低下に直結します。Web会議の切断、クラウドアプリケーションの遅延、メール送受信の失敗など、小さなトラブルが積み重なると、現場の生産性が低下し情報システム担当者の対応工数も膨れ上がります。
こうした事態を防ぐには、新しいオフィスの電波環境を移転前に把握することが不可欠です。近隣建物や隣接オフィスからの電波干渉、オフィス内の構造による電波の減衰など、目に見えない要因が通信品質に大きく影響します。これらを事前に調査し、設計段階で対策を講じることで、開業直後から安定したWi-Fi環境を実現できます。
移転計画の早めの段階でWi-Fiサーベイ(電波調査)を組み込むことで、予算と工期の効率化にもつながります。調査データに基づいた設計であれば、利用者への説明も根拠を持って行え、信頼感も生まれます。
なぜ移転前Wi-Fi調査が重要なのか?3つの理由
移転先では建物の構造や周辺環境が大きく変わるため、現在のオフィスと同じWi-Fi設計をそのまま適用することは望ましくありません。新しいオフィスで通信不良を繰り返さないためには、移転前の段階で新しいオフィスの電波環境を調査し、その結果に基づいて設計を行うことが不可欠です。移転前調査が重要な理由は、大きく3つあります。
理由1:近隣建物からの電波干渉を事前に把握できる
Wi-Fi(主に2.4GHz帯・5GHz帯)の電波は、近隣の建物や隣接するオフィスからの同一周波数の電波と干渉します。特に2.4GHz帯は多くの無線機器が使用するため、周辺環境によっては深刻な干渉が発生することがあります。現在のオフィスは干渉が少ない立地で問題がなかったとしても、移転先では隣や上下階のテナントや向かいのビルから強い電波が入ってくる可能性があります。
移転前にWi-Fiサーベイを実施すれば、新しいオフィスの周辺環境にどのような電波が存在し、どの程度の強度で受信されているかが可視化されます。干渉が予想される場合は、チャネル設計の段階で対策を講じたり、5GHz帯の利用を優先したりするなど、事前に対応方針を決めることができます。移転後に「隣のテナントの電波が強くて自社のWi-Fiが不安定になった」という状況を避けられるのです。
理由2:新しいオフィスの構造による電波の減衰を可視化できる
オフィスの壁材、床材、設備配置は電波の伝播に大きく影響します。コンクリート造の建物と木造では電波の減衰が異なりますし、鉄骨フロアや金属製のラック、機械室の存在も電波を遮断します。建物の図面を見ただけでは、実際にどこで電波が弱くなるかは判断できません。
Wi-Fiサーベイでは、新しいオフィスの各エリアで実際に電波強度を測定し、ヒートマップとして可視化します。これにより、執務スペースのどの位置で電波が弱くなるのか、会議室や廊下ではどの程度の強度が確保できるのかが明確になります。測定結果を踏まえれば、アクセスポイントを配置すべき位置や、追加が必要な台数も根拠を持って決定できます。移転後に「あの会議室だけいつもつながりにくい」という局所的な問題を事前に防ぐことができるのです。
理由3:アクセスポイント配置や台数を最初から最適化できる
移転前に調査を行わない場合、新しいオフィスのアクセスポイント配置は、現在の環境や一般的な目安に基づいて決められることが多くなります。その結果、実際に運用を開始してから「この場所にもう1台必要だった」「このアクセスポイントは過剰だった」「通信がよく切れるが原因が分からない」という手戻りが生じます。改善のための対応には時間と追加費用がかかり、その間の通信不良に対応する負担も増します。
事前に調査データに基づいた設計を行えば、最初から最適な台数と配置を決定できます。無駄な機器投資を避けられるだけでなく、施工後の再調整や追加工事の可能性も大幅に低減します。特に大規模オフィスや複数フロアの場合、この効果は顕著です。移転直後から安定したWi-Fi環境で業務を開始でき、情報システム担当者の対応工数も最小限に抑えられます。
Wi-Fiサーベイで何がわかるのか
Wi-Fiサーベイ(電波調査)を実施すると、オフィス環境の電波状況が数値とビジュアルで可視化されます。これまでは感覚や経験則で「このあたりが弱そう」と判断していた部分が、具体的なデータとして手元に残ります。その結果、アクセスポイントの配置や設定内容について根拠を持って決定できるようになり、移転後の通信トラブルを大幅に減らせます。
電波強度と電波干渉
Wi-Fiサーベイで最初に測定されるのが電波強度(RSSI)です。これはアクセスポイントから発信された電波をデバイスがどの程度の強さで受信できているかを示す数値で、通常はdBm(デシベルミリワット)という単位で表示されます。測定結果は図面上にヒートマップとして落とし込まれ、強度が高いエリアはグリーン系、低いエリアはグレー系といった色分けで表現されます。
例を見てみましょう。
次の図は移転先のオフィスにて、アクセスポイントを設置する前段階でWi-Fiサーベイを行った際の、2.4GHz帯のヒートマップイメージです。まだアクセスポイントを設置していないにも関わらず、近隣から通信可能なレベルの高い強度の外来波が入ってきているのが分かります。自社のアクセスポイントを設置した際に、干渉を避けるのが難しい状況です。
また、調査では電波強度のほかに、周辺に存在する他の無線機器からの電波(ノイズ)も検出されます。近隣ビルのWi-Fi、隣接テナントのネットワーク、Bluetooth機器など、同じ周波数帯で動作している機器からの電波は、自社のWi-Fiと干渉し合い、通信品質を低下させます。サーベイツールはこれらの干渉源を周波数ごと、チャネルごとに記録し、どのチャネルが混雑しているのか、どのチャネルであれば比較的空いているのかを明確にします。

※画像はイメージです
特に2.4GHz帯は限られたチャネル数の中で多くの機器が競合するため、事前に干渉状況を把握することで、チャネル設定の最適化が可能になります。
次の図はWi-Fiサーベイを行った際の、2.4GHz帯と5GHz帯のチャネル混雑状況のグラフイメージです。左の2.4GHz帯のグラフではどのチャネルも強い電波が存在しており、チャネル干渉を避けるのが難しい状況です。右の5GHz帯では一部のチャネルが比較的空いているので、それを踏まえたチャネル設定を行うことが重要です。
■2.4GHz帯

※画像はイメージです
■5GHz帯

電波干渉やノイズが通信速度に与える影響
アクセスポイントを設置した際、電波強度が高かったとしても、周辺のノイズが強ければ通信速度は低下します。Wi-Fiサーベイでは、各測定ポイントにおける信号対ノイズ比(SNR:Signal to Noise Ratio)も記録されます。
これは自社のWi-Fi信号がノイズに対してどの程度優位にあるかを示す指標で、この値が低いと、接続は保たれていても実際のデータ転送速度が遅くなり、Web会議の映像が乱れたりファイル転送に時間がかかったりします。
業務用途のSNR推奨値としては25dB以上が推奨されます。25dB以下の場合は、Wi-Fi接続が不安定となり、ときどきWi-Fi接続が切れてしまうことがあります。
さらに詳細な調査を行えば、各チャネルの使用状況や干渉源の特性まで分析されます。特定の時間帯に隣のテナントの機器が起動して干渉が増すのか、それとも常時干渉が存在するのかといった時間軸の情報も得られれば、対策の優先順位も明確になります。

※画像はイメージです
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移転前の電波環境調査(事前サーベイ)
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まとめ
オフィス移転は、Wi-Fi環境を見直し最適化する絶好の機会です。しかし、事前の電波調査を行わないまま設計を進めてしまうと、移転後に通信不良が発生し、業務効率の低下や追加コストの発生につながるリスクがあります。
移転前にWi-Fiサーベイを実施することで、
- 近隣からの電波干渉の把握
- 建物構造による電波減衰の可視化
- アクセスポイントの最適な配置・台数設計
といった重要なポイントを事前に明確にできます。
移転後に「つながらない」を繰り返さないためにも、Wi-Fiサーベイは“後からではなく、移転前に”実施することが重要です。データに基づいた確かな設計で、安心して業務をスタートできるネットワーク環境を構築しましょう。
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