
突然、社内のネットワーク管理を任されてしまったあなたへ|最低限知っておきたい用語 ~第一弾 ネットワークの住所編~
前任者の業務が属人化していて引き継ぎ資料も不十分、どこから手を付ければよいのか分からない…。さらにIT化の推進やネットワークの安定運用という重要な役割を担うことになったものの、専門知識に自信がなく不安を感じている方も多いのではないでしょうか。そんなあなたのために、まず押さえておきたい基本用語と概念をまとめました。第一弾の本稿では、ネットワーク担当者として最低限理解しておくべきキーワードをわかりやすく解説します。
最初に抑えておきたいネットワークの住所に関わる用語
ネットワーク用語といってもWi-FiやLANケーブル、といった比較的身近に耳にする用語からNAS、SSID、帯域幅と専門的な用語までさまざまです。今回はネットワーク初心者がまず、理解しておくとネットワークへの理解が進む、最初に覚えておく領域ともいえるネットワークの住所(アドレッシング※)に関わる用語を4つピックアップします。
「名前(ドメイン名)と住所(IPアドレス)がどう割り当てられているか」が理解できていないと、ネットワークトラブル発生時にも原因を追うことが困難になります。
※アドレッシング……コンピュータやネットワークにおいて、データ、デバイス、メモリ上の特定位置(アドレス)を識別・指定・割り当てる技術や手法
IPアドレス
IPアドレスは、ネットワークに接続されたパソコンやスマートフォンなどの「住所」にあたる番号です。ビルやマンションなど建物に番地があり郵便物などを受け取るように、機器がデータを受け取ったり送ったりするためには、この“住所”が必要です。インターネットの世界では、この番号を手がかりに「どの機器に届けるか」が判断されます。例えば、社内のコンピュータやプリンタにはそれぞれ異なるIPアドレスが割り当てられています。
IPアドレスは、大きく「ネットワークを識別する部分(ネットワーク部分)」と「その中の機器を識別する部分(ホスト部分)」で構成されています。これにより、どのグループ(ネットワーク)の、どの端末(ホスト)に向けた通信なのかを整理できます。
また、IPアドレスには2種類あり、「インターネット用の住所」であるグローバルIPと、「社内や自宅など内部だけで使う住所」であるプライベートIPがあります。内部の機器には通常プライベートIPが割り当てられ、外部サイトへアクセスする際はルーターなどが持つグローバルIPに置き換えられることで、外の世界へ通信できる仕組みになっています。

グローバルIP
グローバルIPアドレスは、インターネットの世界で“一つしかない住所”として扱われる番号です。世界中で重複する番号はなく、プロバイダから割り当てられるグローバルIPの番号は唯一無二の番号になります。これを使うことでインターネット上のサービスや他のネットワークと正しく通信できます。会社や家庭のネットワークが外の世界へつながるとき、最終的に窓口として使われるのがこのグローバルIPです。
たとえば、あなたの会社のパソコンが外部サイトへアクセスする際、内部のプライベートIPのままでは外へ出られず、最終的にルーターなどが持つグローバルIPに置き換えられて通信します。これは、ネットワーク内部で使う“建物内の部屋番号”が、外の世界では通じないため、ひとつの“建物の代表住所”にまとめられて出ていくイメージです。
プライベートIP
プライベートIPアドレスは、会社や自宅などの“内部だけで使う住所”のような番号です。インターネット上の世界では使われず、同じ番号が別の会社や家庭でも自由に使えます。建物の中の「部屋番号」のようなもので、外部から直接見えるわけではありません。内部のネットワークでは、パソコン・スマートフォン・プリンタなどに個別のプライベートIPが割り当てられ、どの機器にデータを届けるか判断されます。
この番号は多くの場合、後述するDHCPによって自動的に配られます。
プライベートIPは、ネットワーク内部での整理や管理に欠かせない、基盤となる仕組みです。

サブネットマスク
サブネットマスクは、IPアドレスのどこまでが「ネットワーク全体を示す部分」で、どこからが「個々の機器を区別する部分」なのかを決めるための“区切り線”のようなものです。建物で例えると、住所のうち「市や町までが共通部分で、番地から先が家を特定する部分」といった具合に、範囲をはっきりさせるための仕組みです。これがあることで、ネットワーク内で無駄な通信が起きにくくなり、目的の相手にだけ効率よく伝わるようになります。サブネットマスクが正しく設定されていないと、本来つながるべき相手に届かない、逆に不要な相手にも問い合わせをしてしまうなどのトラブルが起こることがあります。
IPアドレスが“住所”だとすれば、サブネットマスクは「どの範囲まで同じ地域として扱うか」を定める地図の境界線のような役割です。後述するDNSやDHCPとは異なり目に触れる機会は少ないものの、ネットワーク全体の通信効率を左右する重要な基本設定です。
DNS(Domain Name System)
DNSは、ドメイン名※をIPアドレスに変換するシステムです。例えば、私たちが「example.com」のような覚えやすい名前でサイトにアクセスすると、DNSがその名前に対応するIPアドレス(住所)を調べて返してくれます。電話帳で名前から番号を探すようなイメージです。この仕組みがなければ、利用者は長い数字の列を毎回覚えなければならず、インターネットはとても不便になってしまいます。
社内でも、特定のサーバーやプリンタなどにアクセスする際に、DNSが内部的に名前を住所へ変換し、正しい機器へつなげています。IPアドレスが通信の“実際の住所”だとすると、DNSは“住所検索の係”として機能します。後述するDHCPとも連携し、新しい端末が自動的にネットワークに登録されると、その情報がDNSに反映され、名前でアクセスできるようになります。DNSが正しく動いていないと、インターネットにつながっていても特定のサイトや社内システムの名前解決ができず、「つながらない」と感じる原因になります。
※ドメイン名とはインターネット上のWEBサイトやサービスの「住所」にあたる、人間が覚えやすい識別子のことです。複雑な数字の羅列であるIPアドレス(コンピュータの識別番号)の代わりに、企業名やサービス名などを使って、URL(http://example.com)やメールアドレス(user@example.com)で使われ、誰が・どこにあるかを分かりやすくする役割があります。
DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)
DHCPは、ネットワークに接続された機器へ、IPアドレスという“住所”を自動的に割り当てる仕組みです。新しいパソコンやスマートフォンをネットワークにつないだとき、利用者が何も設定しなくてもインターネットにつながるのは、このDHCPが裏で動いているおかげです。機器がネットワークに接続されると、DHCPサーバーが「空いている住所」を探してその機器へ渡し、一定期間その住所を利用可能にします。これにより、手作業による設定ミスを防ぎ、管理の手間も大幅に減らせます。
また、先述したDNSとも関係しています。DHCPによって新しく割り当てられた住所情報がDNSに登録されることで、名前でのアクセスもスムーズに行えるようになります。もしDHCPが正しく動かないと、機器に住所が割り当てられず「ネットワークに接続できない」という状態が発生します。ネットワークに接続するまでの最初の一歩を担当する、縁の下の力持ちのような役割です。
まとめ
今回の記事では、IPアドレス・サブネットマスク・DNS・DHCPといった、ネットワークの“住所体系”を支える基礎部分を整理しました。これらは、ネットワーク上の機器が「誰に」「どこへ」データを届けるのかを判断するための土台となる仕組みです。住所にあたるIPアドレス、その住所の範囲を決めるサブネットマスク、名前を住所に変換するDNS、住所を自動で割り当てるDHCP――この4つが正しく機能してはじめて、ネットワークの中で正しい相手へ通信が届く状態が整います。
しかし、住所が正しく整っていても、それだけでは通信は成立しません。実際にデータを運んだり、正しい方向へ振り分けたり、内部と外部の境界を管理したりする“交通整理役”が必要です。そこで次回は、通信の経路づくりや通り道の管理を担うネットワーク機器であるルーター、デフォルトゲートウェイ、スイッチ、プロキシサーバーについて解説していきます。今回の基礎知識を押さえていただいた今こそ、ネットワークの“流れ”や“動き方”がより分かりやすくなるはずです。第二弾もぜひ続けてご覧ください。
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