
「ネットワークが遅い」はもう通用しない?放置が招く“業務停止”のリスクとは
「ネットワークが遅いけど、仕方ない」――そんな言葉が許されていたのは、オンプレミス中心で業務が完結していた時代です。今やクラウドサービスの利用は当たり前。SaaS型の業務アプリケーション、オンライン会議、ファイル共有、さらにはテレワーク環境の整備など、企業活動のほぼすべてがネットワークに依存しています。
その結果、ネットワーク遅延や不安定さは単なる“ITの不具合”ではなく、事業継続に直結する重大なリスクとなっています。
例えば、営業チームがクラウドCRMにアクセスできない、経理部門が請求処理をクラウド会計ソフトで完了できない、オンライン会議が頻繁に途切れる――こうした問題は、顧客対応の遅れや意思決定の停滞を招きます。
本記事では、なぜネットワーク遅延を放置することが危険なのか?について詳しく紹介いたします。
ネットワーク遅延が招く“業務停止”のリスク
ネットワークの遅延や不安定さは、企業活動にどのような影響を与えるのでしょうか。代表的なリスクは以下の通りです。
- クラウド依存時代に潜む業務停止リスク
- セキュリティリスクの増大
- 生産性低下と機会損失
クラウド依存時代に潜む業務停止リスク
勤怠管理、経理処理、営業支援、ファイル共有など、クラウドサービスは業務の中核を担っています。
クラウドサービスは「常時接続」が前提です。オンプレシステムが前提だった時代のように一時的な切断で済む話ではありません。クラウド利用中にネットワーク接続が不安定になると、作業が中断されるだけでなく、データの破損や同期エラーが発生するリスクもあります。
また、月末の請求処理や決算期など、業務が集中するタイミングで遅延が発生すれば、企業全体の生産性に大きな影響を与えます。
セキュリティリスクの増大
多くの企業でテレワークやクラウド利用時にVPN(Virtual Private Network)やゼロトラスト認証を導入しています。ネットワーク遅延は、VPN切断や認証エラーを引き起こし、結果的にセキュリティホールを生むことがあります。
※VPN…VPNは「仮想専用線」のことで、インターネット上に仮想的な専用回線を構築し、通信を暗号化して安全にやり取りする技術
※ゼロトラスト認証…「企業ネットワーク内であれば信頼できる」という前提を捨て、すべてのアクセスを検証するセキュリティモデル
生産性低下と機会損失
「数秒の遅延くらい問題ない」と思うかもしれません。しかし、1回の遅延が1分、1日で10回発生すれば10分、年間で約40時間もの損失になります。
これは単なる時間のロスではなく、顧客対応の遅れや意思決定の遅延によるビジネス機会の損失につながります
よくある原因と見落としがちなポイント
ネットワーク遅延の原因は多岐にわたりますが、企業でよく見られるのは以下のケースです。
- 老朽化したネットワーク機器
- Wi-Fi環境の不適切な設計
- トラフィック集中と帯域不足
- クラウド移行後のネットワーク再設計不足
老朽化したネットワーク機器
導入から5年以上経過したスイッチやルーターは、処理能力やセキュリティ性能が現行の業務要件に追いついていないことが多いです。
特に、クラウド利用が増えたにもかかわらず、古い機器を使い続けている企業は要注意です。
Wi-Fi環境の不適切な設計
オフィスで「電波が弱い」「接続が切れる」という問題は、アクセスポイントの配置やチャネル設計の不備が原因のひとつと考えられます。
会議室や執務エリアでのオンライン会議が頻繁に途切れる場合、Wi-Fi設計の見直しが必要です。
トラフィック集中と帯域不足
クラウドへの移行後に従来の回線帯域では足りなくなるケースが増えています。
かつてのオフィスネットワークは、メールや軽量な業務システムが中心だったため、10Mbps~100Mbps程度の回線でも十分でした。しかし、オンライン会議や大容量データの送受信が常態化し、トラフィックが爆発的に増加しています。結果として、従来の100Mbpsや1Gbps回線では、ピーク時に帯域が飽和し遅延やパケットロスが発生します。そのため帯域不足はネットワーク遅延の最大要因となります。
クラウド移行後のネットワーク再設計不足
オンプレミスからクラウドへ移行した際、本来であればネットワーク構成を抜本的に見直す必要があります。しかし、実際にはクラウド利用を開始したものの、ネットワークは従来の設計のままという企業が少なくありません。
特に、コロナ禍で急なテレワーク対応が求められた2020年以降、多くの企業は「とりあえずVPNを増設」「クラウドサービスを導入」という短期的な対応に追われました。
その結果、ネットワーク全体のトラフィック設計や冗長化、クラウド直結型の構成までは手が回らず、VPNやゲートウェイがボトルネックとなり、遅延や切断が頻発する状況が生まれています。
今すぐできる対策
ネットワーク遅延を防ぐためには、以下の対策が有効です
- ネットワーク診断(Wi-Fiサーベイ)
- トラフィック可視化ツールの導入
- 冗長化・バックアップ回線の確保
- 定期的な機器更新とセキュリティパッチ適用
ネットワーク診断(Wi-Fiサーベイ)
特にオフィス環境では、アクセスポイントの配置や電波干渉が原因で通信品質が低下しているケースが多く見られます。Wi-Fiサーベイを実施することで、どのエリアで電波が弱いのか、どの時間帯にトラフィックが集中しているのかを明確にできます。ネットワークの現状を把握することで、根本的な改善策を見つけやすくなります。
トラフィック可視化ツールの導入
どのアプリケーションが帯域を消費しているかを把握し、優先度を設定することで遅延を防ぎます。業務に必要不可欠なアプリを優先し、遅延を防ぐことが可能です。また、不正アクセスやマルウェア通信の早期発見にもつながり、セキュリティ面での安心感も高まります。
冗長化・バックアップ回線の確保
メイン回線が障害を起こした場合、業務が完全に停止するリスクがあります。特にクラウドサービスやテレワークが業務の中心となっている企業では、ネットワークの停止は即座に事業停止につながります。
バックアップ回線を確保し、冗長化構成を取ることで、障害発生時でも業務を継続できる体制を整えられます。
定期的な機器更新とセキュリティパッチ適用
古い機器は性能不足だけでなく、セキュリティリスクも抱えています。更新を怠ると、遅延だけでなく情報漏えいのリスクも高まります。
定期的な機器更新と最新のセキュリティパッチ適用を行うことで、ネットワークの高速化と安定性を確保できます。
まとめ:クラウド時代、ネットワークは事業継続の要
ネットワーク遅延は、単なるIT課題ではなく、企業の事業継続に直結する問題です。
クラウド活用が進み企業活動のほぼすべてがネットワークに依存している今、「ネットワークが遅い」という声を軽視することは、業務停止や顧客信頼の喪失につながる恐れがあります。
ネットワーク担当者は、経営層に対して「ネットワークは経営リスクであり事業継続の要」という認識を共有し、定期的な診断・改善を提案することが重要です。
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