
Wi-Fi 7時代のPoE設計入門:スイッチの電源容量とケーブル選定の重要性
Wi-Fi 7対応のアクセスポイントは従来のものよりも高速・高機能で消費電力も増加しています。そのため、PoE(Power over Ethernet)の設計を誤ると「APが再起動する」「速度が不安定になる」などのトラブルを招きます。本記事では、Wi-Fi 7導入時にPoEで注意すべきポイントを、規格の違い(802.3af/at/bt)、電源容量、ケーブル選定についてわかりやすく解説します。
Wi-FiでPoEはなぜ重要なのか?
Wi-Fiのアクセスポイント(AP)は、オフィスや病院、工場などで柔軟に設置できるようにPoEを使うケースが増加しています。PoEはLANケーブル1本で通信と電力を同時に供給できる仕組みで電源工事が不要になるため、設置コストを削減しレイアウト変更にも対応しやすくなります。
しかし、Wi-Fi 7対応APは従来のWi-Fi 5やWi-Fi 6に比べて消費電力が大きくなっています。複数アンテナによるMIMO技術、6GHz帯対応、より高性能なチップセットを搭載していることなどが理由です。そのためPoE設計を誤ると、電圧降下や発熱による不安定動作が発生し、業務に支障をきたす可能性があるため注意しましょう。

PoEの規格(af/at/bt)
PoEには複数の規格があり、供給できる電力が異なります。Wi-Fi 7対応APを導入する際には、現在使用しているPoEスイッチがどの規格なのか、Wi-Fi7対応は可能なのかを事前に確認することが重要です。
PoE規格比較表
規格 | 最大供給電力 | 代表的な用途 | Wi-Fi AP対応状況 |
|---|---|---|---|
IEEE 802.3af(PoE) | 約15.4W | VoIP電話、簡易カメラ | Wi-Fi 5までの小型AP |
IEEE 802.3at(PoE+) | 約30W | 高性能AP、PTZカメラ | Wi-Fi 6対応APで一般的 |
IEEE 802.3bt(PoE++)Type 3 | 約60W | Wi-Fi 6E/7 AP、LED照明 | Wi-Fi 7で推奨 |
IEEE 802.3bt(PoE++)Type 4 | 約90W | 大型AP、デジタルサイネージ | Wi-Fi 7のハイエンドモデル |
Wi-Fi 7のAPは、IEEE 802.3bt(PoE++)対応が必要なケースが多く、スイッチ側の電源容量も確認が必須です。
Wi-Fi 7対応APで増えるPoE要件
Wi-Fi 7は最大30Gbps超の理論値を持ち、複数アンテナや6GHz帯への対応により消費電力が増加します。従来のPoE+(30W)では不足する場合があり、PoE++(60W以上)を前提に設計する必要があります。
さらに、Wi-Fi 7対応APは高負荷時に消費電力がピークに達することがあります。例えば、同時接続端末が多い時間帯やファームウェア更新時には、通常時よりも電力を消費します。このとき、PoEの給電容量に余裕がないと、APが再起動したり、速度が急激に低下することがあります。
PoEスイッチ全体の電源容量を確認する重要性
Wi-Fi 7対応APは1台あたりの消費電力が大きくなるため、スイッチのPoE電源容量(給電能力)を確認することが不可欠です。
PoEスイッチには「ポート単位の最大供給電力」と「スイッチ全体の給電容量」があり、どちらも不足すると次のようなトラブルが発生します。
- ポート単位の電力不足:APが起動しない、再起動を繰り返す
- スイッチ全体の給電容量不足:複数台接続時に一部のAPが動作しない
例えば、PoE++対応スイッチでも、給電容量が300Wの場合、60WのAPを5台接続すると容量を超えてしまいます。この場合、追加スイッチの導入や電源分散が必要です。
確認ポイント:
- スイッチのPoE電源容量(W)
- ポート単位の最大供給電力(W)
- 接続予定APの台数と消費電力の合計
設計の目安:
- Wi-Fi 7対応AP(PoE++)は1台あたり60W前後を想定
- スイッチの給電容量は、最大消費電力×台数+余裕を持たせる
Wi-Fi 7導入におけるPoE設計の注意点
Wi-Fi 7対応APを安定稼働させるためには、以下のポイントを押さえる必要があります。
- PoE規格の確認:APの消費電力に応じてPoE++(802.3bt)対応スイッチを選定
- ケーブル選定:Cat6Aを標準に。長距離や高電力では発熱・電圧降下対策が重要
- PoE電源容量の管理:スイッチの給電能力とポート単位の上限を確認し、余裕を持たせる
- 施工品質:束ね配線を避け、曲げ半径や通風を確保
- 将来拡張性:Wi-Fi 7以降のAP増設を見据えたPoE設計を行う
まとめ:PoE設計がWi-Fi 7の安定性を決める
Wi-Fi 7対応APは高性能化に伴い消費電力が増加しており、PoE設計を誤ると再起動や速度低下などのトラブルを招きます。安定稼働のためには、PoE規格の確認(802.3bt対応)、スイッチの給電容量の把握、Cat6A以上のケーブル選定が不可欠です。また、施工品質や将来の拡張性も考慮し、余裕を持った設計を行うことで、長期的なネットワークの信頼性を確保できます。
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