
リチウムイオン電池火災の前兆とは?サーマルカメラで実現する予防監視
EV市場の拡大や蓄電池需要の高まりにより、リチウムイオン電池の保管・管理を担う事業者も増加しています。一方で、リチウムイオン電池が関係する火災事故も社会課題となっており、製造業や物流業では安全対策の見直しが進んでいます。
特にEV関連企業や倉庫事業者にとって、火災は設備や在庫の損失だけでなく、操業停止や顧客への影響など事業継続を脅かす重大なリスクです。
そこで注目されているのが、サーマルカメラによる温度監視です。可視光カメラでは確認できない温度変化を監視することで、異常発熱の早期発見につながり、火災リスクの低減が期待できます。
本記事では、リチウムイオン電池保管現場の課題と、サーマルカメラを活用した予防型の安全対策について解説します。
なぜ今、リチウムイオン電池の監視が重要なのか
リチウムイオン電池は、EVや電動フォークリフト、モバイル機器、蓄電池など幅広い用途で利用されています。市場拡大に伴い、製造現場だけでなく物流倉庫や配送センター、リサイクル施設などでも大量に保管・管理されるようになりました。
一方で、保管量の増加に伴い、リチウムイオン電池の異常発熱が発生した場合のリスクも高まっています。異常を見逃してしまうと、最終的に火災へ発展し、設備や在庫の損失、生産停止や出荷停止、顧客からの信頼低下につながる可能性があります。
そのため、近年では火災発生後の対応だけでなく、異常発熱の段階で兆候を捉える予防型の安全対策が注目されています。
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倉庫におけるリチウムイオン電池火災のリスク
リチウムイオン電池の火災というと製造工程で発生するイメージを持つ方もいますが、実際には保管中や輸送待機中の倉庫でもリスクは存在します。
その理由の一つが、大量保管による影響です。物流センターや保管倉庫では、多数の電池や電池搭載製品が集中して保管されているケースがあります。異常発熱が発生し、仮にぼやが起きてしまった際には周囲の製品へ影響が広がる可能性があり、被害が拡大しやすい環境といえます。
また、目視では異常が分かりにくいことも課題です。保管棚の奥側や高所にある製品は、巡回点検だけでは十分に確認できません。異常発熱が発生していても、煙や炎が確認できる段階になるまで気付けないケースも考えられます。
さらに倉庫では夜間や休日など無人となる時間帯が存在します。仮に深夜に温度上昇が発生した場合、発見が遅れれば被害が大きくなる可能性があります。
倉庫における安全管理で重要なのは、異常が発生してから対応するのではなく、「異常が起き始めた段階」で検知できる体制を構築することです。
リチウムイオン電池保管現場でよくある課題
多くの企業では、定期的な巡回や設備点検を実施しています。しかし、人による管理だけでは限界があります。
例えば担当者が数時間ごとに巡回している場合でも、その間に発生した温度変化を把握できない可能性があります。異常発熱は必ずしも点検タイミングに合わせて発生するわけではないためです。
また、大規模な倉庫では保管エリアが広く、膨大な数量の製品を管理しています。そのため異常箇所の特定に時間がかかることがあります。
加えて、夜間や休日のように人が少ない時間帯は監視頻度が低下しやすくなります。安全管理を強化したくても、人員増加にはコストがかかるため、常時人の目で監視を実現することは容易ではありません。
こうした課題を解決する方法として、24時間自動で温度監視を行う仕組みが求められています。
リチウムイオン電池は、火災に至る前に局所的な温度上昇などの兆候が現れる場合があります。しかし、そのような初期段階の変化は外観から判断しにくく、人による巡回だけでは見逃してしまう可能性があります。そのため、火災発生後に対応するのではなく、温度変化の段階で異常を検知し、早期に対処することが重要です。
サーマルカメラで実現する「予防型」の安全対策
サーマルカメラは、物体の表面温度を映像として可視化するカメラです。通常の監視カメラでは確認できない温度情報を取得できるため、設備監視や異常発熱監視の用途で活用されています。
リチウムイオン電池の保管現場では、温度上昇や異常発熱をリアルタイムに監視できることが大きなメリットです。
設定温度を超えた場合にアラームを発報する仕組みを構築すれば、管理者は異常の発生を迅速に把握できます。目視では発見が難しい温度上昇も監視できるため、初動対応の迅速化が期待できます。
特に重要なのは、「煙が発生してから検知する」のではなく、「温度が上昇した段階で気付く」という考え方です。
多くの防災設備や火災検知設備は煙や火災の発生後の対応を主な目的としています。しかし、事業継続の観点で考えると、被害そのものを最小化することが重要です。
サーマルカメラは、こうした予防保全の考え方に基づいた監視体制の構築を支援するツールとして活用できます。
EVバッテリーの製造・保管現場での活用例
バッテリー保管エリアの監視
EV用バッテリーセルやモジュールを保管するエリアでは、保管ラックやパレット全体を監視し、温度異常が発生していないか確認できます。異常が見つかれば対象区画を特定し、早期対応につなげられます。
充放電試験・エージング工程の監視
試験設備や治具の一部に異常発熱が生じていないかを監視できます。設備トラブルの早期発見にも有効です。
リサイクル・リユース品の監視
状態が異なる回収バッテリーの保管エリアを継続監視し、温度変化の把握に活用できます。
倉庫・物流センターでの活用例
保管ラックの監視
モバイルバッテリーや電動工具などを保管するラックを監視し、特定エリアの異常発熱を把握できます。
入荷待機エリア・返品エリアの監視
輸送中の衝撃などが懸念される製品を一時保管するエリアで温度変化を監視し、異常の早期発見に役立ちます。
充電設備エリアの監視
ハンディターミナルや電動台車などの充電設備を監視し、異常発熱発生時の迅速な対応を支援します。
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サーマルカメラ導入時に確認したいポイント
サーマルカメラは機種によって性能や用途が異なります。そのため、導入前には自社の運用環境に適した選定が重要です。確認したいポイントとしては、温度測定精度、設置環境への適合性、監視範囲、アラーム通知機能などが挙げられます。
特に倉庫や工場では天井高やラック配置によって最適な設置方法が異なるため、現場環境を考慮したシステム設計が必要です。
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まとめ
EV市場の拡大や物流業界での電池製品の増加に伴い、リチウムイオン電池の安全管理はこれまで以上に重要な課題となっています。
特に倉庫や保管施設では、大量保管、夜間無人運用、目視確認の限界などの課題があり、異常発熱を早期に発見する仕組みづくりが求められています。
火災対策というと消火設備や防火設備に注目が集まりがちですが、企業にとって本当に重要なのは被害を最小限に抑えることです。火災が発生してから対応する場合と、異常発熱の段階で発見して対応する場合では、被害規模や復旧コストに大きな差が生まれます。
サーマルカメラは、温度情報を可視化し、24時間体制で監視できる有効なソリューションです。火災が起きてから対応するのではなく、異常の兆候を捉えて被害を最小化する予防型の安全管理を実現できます。
リチウムイオン電池を取り扱うEV関連企業や倉庫事業者の皆さまは、自社の安全対策を改めて見直し、サーマルカメラを活用した監視体制の構築を検討してみてはいかがでしょうか。
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